読解力・記述力アップ、時間対策もカバーした一冊はコレ!
こんばんは、中の人(@mAjorstep_jp)です。忘年会シーズンになりました。昔から幹事をやることが多く、準備に追われていますが、たまには何も考えずに飲みたいと思ってしまう今日この頃です。くわえて、サンタ委託業務や娘の誕生日会、クリスマス会などイベント目白押しのため、楽しみながら乗り切りたいです。
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さて、今回は#参考書レビューシリーズ の続編です。
ご紹介する参考書は、安達雄大先生の『「読める」「解ける」を可視化する 安達の視える現代文』です。
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求められるのは読む「体力」
(中):有名プロ講師の現代文の読解の過程を追体験ができるうえに、本文全体をどう捉えるかまで抑えることができる。魅力的な点がたくさんある参考書ですね。では、こちらの参考書をすすめるにあたって注意しなければならない点はありますか?
(ね):手にとってみたらお分かりだと思いますが、読む「体力」がない子は無理ですね。国公立大学の高校2年生向け、というのはそういう基準からです。具体的には高校2年生の2学期〜3学期。ここを推奨します。
厚みを比較してみると数学でいうとチャート式問題集ぐらいでしょうか。「青チャは2周」という有名な都市伝説がありますよね。でも青チャートって、厚いだけでやること自体はシンプルです。なぜなら、学ぶべきことが体系化されているからですね。
『視える現代文』もこれに近いところがあって、学ぶ順序がしっかりと組み立てられています。しかし、ページ数は多い。1講で30ページ超なんて回もあります。
(中):つまり、量を見ると怯んじゃうタイプの子には不向きと。
(ね):そうですね。けれど、1ページ当たりの情報量は実は(字数は多いけど)そこまで重くないんですよ。丁寧で読みやすい説明のために字数が嵩んでしまうのです。問題は、そのページ数を見ただけで辟易してしまう生徒。そういう子には向きません。
(中):印象だけでこの本に取り組まないのは損ですね。
(ね):そうです。だからこの本を勧められる生徒は勉強の体力が必要なんですよ。
読み切る体力。考え続ける体力。書き込みを模倣しつつ手を動かす体力です。
だから、本格的な演習モードに入るにはまだ早いけれど、基礎だけでは物足りない。そんな生徒が高2の3学期にこの参考書に取り組むとよいでしょう。「国公立を目指すぞ」という意識が芽生えている生徒なら、ここから入ると伸びやすいのではないでしょうか。一方、高3の夏以降だとボリュームに負けてしまう可能性があります。遅くとも高3の1学期には仕上げたいですね。
読む体力がついたと言える判断基準
(ね):もしも生徒がこの本で挫折しそうなら、まずはもっと薄い参考書で「解説を読む」ことに慣れさせるのが良いと思います。
また、50分授業、特に講義をしっかり聞き切れるかどうかも基準です。
(中):講義が聞けるかどうかですか?
(ね):ええ。講義力のある講師が書いている参考書です。書籍でありつつ、講義の追体験でもあります。
だから、講義中に「この話はどこにつながるのか」「何をメモすべきなのか」「今の説明は本文のどこを指しているのか」ということを整理しながら聞ける生徒であれば、この本は強い武器になる。
逆に、講義をぼんやりと受け身で聞いてしまう生徒はちょっと苦戦するかもしれません。
(中):講義中に頭の中をフル回転させて、積極的な授業態度を見せる生徒はかなり力を伸ばせそうですね。参考書をすすめるにあたってこうした見立ては必要ですね。
教員にとっても有益——時間対策コラムの破壊力
(中):そろそろ参考書レビューも終盤です。この参考書について他に言及すべき点はありますか?
(ね):はい。時間対策のコラムが載っていることです。
(中):時間対策? 時間配分についてですか?
(ね):読解スピードをどう上げるかについて非常に具体的に書かれています。
こういう指導って各先生が暗黙知として指導していますが、体系的に言語化された形で出てくることは本当に少ないです。
「速く読め」と言うのは簡単です。でも、生徒にとっては、どうしたら速くなれるのか、具体的にどこに意識を向けるのか、それが分かりません。『視える現代文』のコラムでは、言われてみれば当たり前だけれど、案外、明確に指導できない時間管理のポイントをとても分かりやすく可視化してくれています。だから教員が読んでも得るものが大きいと思います。
(中):これはすぐに授業中に言いたくなりますね。
記述対策はこれで万全
(中):どんどんおすすめの点が出てきますね。読解対策はかなりの充実度ということが伝わりました。ところで『視える現代文』は記述対策についてはどうですか?
(ね):これはもう、驚くほど丁寧です。